海外旅行の準備をしていたら、家族や携帯ショップの店員さんに「eSIMが安くて便利ですよ」と勧められた。でも正直、自分でちゃんと設定できる自信がない——このページは、そんなモヤモヤを抱えた60代・70代の方のために書きました。
先にお伝えしておくと、無理にeSIMを選ばなくて大丈夫です。この記事では、eSIMが「簡単」と言われる理由の裏側と、不安な方のための別の選択肢まで、順番に一緒に確認していきます。
「それ、本当に簡単なの?」
「eSIMなら、すぐ使えて安いらしいよ」
そう言ったのは、70歳の父でした。スマホはiPhone。LINEと写真は使えるけれど、設定画面はほとんど触らないタイプです。
母は少し不安そうに言います。「でもそれ、私たちでもできるの?」
父は少し間を置いてから、こう返しました。「若い人が“簡単”って言ってるから、大丈夫だろ」——この時点で、もう多くのシニアの方は「あ、分かる」と感じたのではないでしょうか。
結論から言うと、eSIMは「設定画面を見ても焦らず、トラブルも自分で調べて解決できる人」には向いていますが、「誰かに実物を見せて聞きたい」タイプの方には無理に勧められません。eSIM(イーシム)とは、SIMカードを物理的に差し込まずに、スマホ本体に直接回線情報を書き込んで使う仕組みのこと。カードが要らない分、紛失や差し替えの手間はありませんが、その分すべてが「画面の中」で完結するため、トラブル時に人へ見せて聞くことができません。
eSIMが「簡単」に感じる人の正体
eSIMが簡単だと言われる理由は、操作が少ないからではありません。使う人がすでに「設定画面を見ても焦らない」「英語表記が出ても一旦落ち着ける」「失敗しても“まあいいか”と思える」「原因を自分で切り分けられる」——この4つの状態にあることを前提にしているからです。

これ、どこを押せばいいんだろう…
これらが揃っている人にとっては、確かにeSIMは快適です。でも、少しでもこう思ったらどうでしょう。その瞬間、eSIMは一気に“難しいもの”に変わります。
トラブルは、ある日突然やってくる
実際、ある夫婦は海外に着いた直後、立ち止まりました。「……繋がらないね」空港のWi-Fiは弱く、周りは英語。サポートに連絡しようにも、ログイン情報が分からない。母が、ぽつりと言いました。「ねえ、これ……誰かに聞けないの?」
この一言が、すべてでした。eSIMは便利ですが、困ったときに“人に見せて聞けない”。これが、シニアにとって最大の弱点です。
「簡単」「すぐ使える」という言葉の落とし穴
eSIMの説明文には、よくこんな言葉が並びます。
- 数分で完了
- 初心者でも安心
- 簡単設定
一見、親切そうです。でも、ここで一つ考えてみてください。

何ができたら“完了”なんでしょう?
この答えは、ほとんど書かれていません。人は、情報が足りないと自分で勝手に補って判断します。そして不安なときほど、「まあ大丈夫だろう」と思ってしまう。これが、eSIMで失敗した人が口を揃えて言う「思ってたのと違った」の正体です。
シニアを狙う「偽eSIM」にも注意してほしい
もう一つ、あまり語られていない注意点があります。「格安」「今だけ半額」といったSNS広告や、見覚えのないメールから届くeSIMの購入リンクの中には、個人情報やクレジットカード情報を狙った偽サイトが紛れているということです。
私自身、投資詐欺の被害から借金を抱えた経験があります。その経験から言えるのは、「安さ」と「急かす言葉」が同時に出てきたときほど、一度立ち止まる価値があるということです。eSIMの世界でも同じ構図が起きています。
- URLが公式ドメインか——検索結果やアプリストアから直接アクセスし、メール・広告のリンクは踏まない
- 運営会社の記載があるか——特定商取引法に基づく表記や、問い合わせ先住所が明記されているか
- 支払い方法が不自然でないか——銀行振込のみ・仮想通貨のみを求める場合は特に警戒する
「怪しいかも」と感じたら、その直感を信じて構いません。正規のeSIM事業者であれば、慌てて契約する必要はどこにもありません。
誤解しないでほしいこと
ここで、はっきりさせておきます。eSIMが悪いわけではありません。実際、こんな人には向いています。
- スマホ操作が好き
- トラブルも自己解決できる
- 英語の案内に抵抗がない
- 「まあ何とかなる」が口癖
もし「それ、自分だ」と感じたなら、eSIMは良い選択です。ただし——一瞬でも「失敗したらどうしよう」という気持ちがよぎったなら、その感覚は無視しないほうがいい。
シニアにとって大事なのは「安心できる余白」
旅先で一番つらいのは、通信トラブルそのものではありません。
- 家族に連絡できない不安
- 誰にも頼れない心細さ
- 「自分の判断が間違っていたかも」という後悔
これらは、楽しみだった旅の記憶を一瞬で塗り替えます。だからこそ、多少荷物が増えても、多少お金がかかっても、「困ったら人に聞ける通信手段」を選ぶ価値があります。
不安が残るなら、「レンタルWiFi」という答えがある
では、「困ったら人に聞ける通信手段」とは何か。その代表がレンタルWiFi(ポケット型WiFi)です。eSIMと正反対の性質を持っています。
- 空港のカウンターで「人から」受け取れる——その場で使い方を聞ける
- 操作は電源を入れるだけ——スマホ側の設定変更は不要
- 24時間の日本語電話サポート——画面を見ながら人に聞ける
- 夫婦・家族で1台を共有できる——2人で割れば意外と割安
もちろん、荷物がひとつ増える・毎日の充電が必要というデメリットはあります。それでも、「困ったら聞ける」という安心は、シニアの旅でいちばん効きます。大手のグローバルWiFiなら、全国の主要空港で受取・返却ができ、24時間365日の日本語サポートがつきます。旅行の日程が決まったら、料金だけでも見ておくと安心材料になります。
それでも、どうしてもeSIMを使ってみたいあなたへ
ここまで読んで、「やっぱりeSIMは不安かもしれない」そう感じたかもしれません。一方で、「それでも一度は使ってみたい」「できれば荷物は増やしたくない」——そんな気持ちも、どこかにありませんか。
もしeSIMを試すなら、“安さ”よりも“迷わなさ”を重視するほうが安心です。設定の途中で「これで合っているのかな?」と立ち止まらなくて済むかどうかが、意外と大きな差になります。
その点で、選択肢の一つとして挙げられるのがtrifa(トリファ)です。アプリで状態が確認でき、日本語前提の設計なので、「今どうなっているのか」が把握しやすいのが特徴です。もちろん、これで不安がゼロになるわけではありません。それでも、「完全に自己責任なeSIM」よりは、少しだけ安心できる選択肢、と考えることもできます。
もし少しでも不安が残るなら、無理にeSIMにこだわらなくて大丈夫です。あなたにとって安心できる方法を選ぶこと自体が、いちばん後悔の少ない選択です。
- Q若い人はみんなeSIMを使っていますが、シニアでも慣れれば問題ありませんか?
- A慣れれば使える方もいます。ただし重要なのは「慣れるまでの過程を旅先で踏めるかどうか」です。移動や環境変化で疲れやすい旅行中は、新しい設定に挑戦する負担が想像以上に大きくなります。
- Q日本にいるうちに設定しておけば、現地で困ることはありませんか?
- A事前設定は有効ですが、それでも想定外は起こります。eSIMは現地到着後に有効化されるケースや、回線切り替えが必要な場合もあり、「家では使えたのに現地で繋がらない」という例は珍しくありません。
- Qサポートに連絡すれば、トラブルは解決できますか?
- A解決する場合もありますが、チャット対応のみ・日本語非対応・ログイン必須といった条件があります。すでにネットが繋がらない状態では、サポートに辿り着くこと自体が難しくなる点に注意が必要です。
- Q料金が安いのは、やはりeSIMの大きなメリットでは?
- A短期利用では料金面のメリットは確かにあります。ただしシニア世代の場合、数百円〜数千円の差と引き換えに「安心感」を失ってしまうケースもあります。旅の満足度を重視するなら慎重に考えたいポイントです。
- Q「安いeSIM」の広告を見かけますが、注意することはありますか?
- Aはい。正規のキャリアや大手eSIM事業者以外からの購入は避けてください。SNS広告やメールから届く「激安eSIM」のリンクの中には、個人情報やクレジットカード情報の詐取を目的にした偽サイトも存在します。公式サイトかどうかをブックマークやアプリストアで確認する習慣が身を守ります。
- Q結局、シニアにとって一番大切なポイントは何ですか?
- A一番大切なのは「困ったときに人に頼れるかどうか」です。通信手段は安さや新しさよりも、安心して使えて、忘れていられることが旅全体の満足度につながります。
まとめ:eSIMを使わないのは、逃げではない
eSIMは、使える人にとっては素晴らしい仕組みです。でも、迷わないこと・焦らないこと・失敗しても立て直せることを重視するなら、あえてeSIMを選ばない判断は、とても賢い。その受け皿として、人に頼れるレンタルWiFiという選択肢もあります。それは、自分の性格や年齢を受け入れた大人の選択です。


